~ 黒豆のお話 ~ その7

最古の「豆豉」が発掘された馬王堆漢墓のお話(2)

馬王堆漢墓からは当日常識を覆す衝撃的な品々が出土しました。

発掘では被葬者のほか、計3000点にも及ぶ副葬品が出土しています。この副葬品には漆器・織物・土器・竹器・木器・木俑・楽器・武器・農畜産品・食品・瓜・薬草・竹簡・印章・帛書などがあり、当時の手工業技術はもとより、文化、社会生活を知る上で極めて貴重な実物史料となりました。

様々な出土品のなかでもっとも考古学的な価値が高いものとしては、帛書と帛画があります。帛書とは絹で書かれた書、帛絵とは絹で書かれた絵の事で、帛画は完全な保存状態で、前漢時代(紀元前206~紀元25年)の社会生活や天上、冥界に関する神話の世界をを表現したものでした。また、帛書は哲学、歴史、文学、軍事、宗教、芸術もあれば、天文、暦法、気象、建築、医薬、牧畜に関する12万字以上文献で、ともに当時の社会生活や文化・思想を知る大きな手がかりとなりました。

また帛書の中には、世界最古の実測地形図や『老子』『経法』『称』『道原』等の著作もありました。

副葬品に中に籼や粳(ともにウルチ米)、もち米、麦、黍、粟、大豆、小豆、梨、ヤマモモ、棗、梅などの果物や卵、野菜など。また調味料として、塩、味噌、豆豉(大豆を煮てから発酵させたもの)、砂糖、麹、蜂蜜、韮、梅、陳皮(乾かした蜜柑の皮)、山椒、茱萸(ミカン科の木の果実)などが出土した事も興味深いです。

聞くところによると、発掘当時、陶器の壷に入っているヤマモモは紫がかった赤色で、果肉はふっくらとしており、果柄は青々としていたと言います。また、漆の鼎から水に浸された薄切れの蓮根が発見され、乳白色で穴もくっきり開いていた。それを車で博物館へ運んだが、振動や空気との接触の時間が長すぎたため、思いがけないことに、蓮根は水に溶けてしまったと言います。

ここで発掘された豆豉こそが現存する最古のものという事になります。

出土した食物の姿かたちが当時のままというのは驚きですが、発掘された被葬者にもっと大きな驚きがありました。

次回はその被葬者についてご紹介します。

(その7へ続く)

カテゴリー: 黒豆のお話
最近のコメント